峰岸の恋する宇宙-そら-(短編)
神様は今、あたしだけをひいき目に見てくれてるんじゃないかってくらい、幸せなんだよ。



見えてきたバス停に、どんどん心音が早くなる。


そのバス停の前、スラリとした長身を見つけた瞬間、あたしの心拍数は更に上昇した。



峰岸!




黒いダッフルコートにグレーのマフラー、ポケットに両手を突っ込んで、うつむいて雪を蹴ってる峰岸。


峰岸だ……峰岸……!


白い息を大気中に溶け込ませてる峰岸……ゆっくりと曇り空を見上げたその顔が、あたしに……気付く。




「あ、永山〜!」


笑いながら、峰岸は手を振ってる。


峰岸、峰岸。

ホントに峰岸だ!


会えるまでは、夢なんじゃないかって思えるくらいに会いたかった……峰岸だ!

笑いながらかけ寄って来る峰岸。



変わらないね。

あたしを呼ぶ声も、呼び方も、手の振り方も、あたしを見つけた時の笑顔も……。



あんまり変わらないから、どのくらい離れていたかなんて忘れちゃうよ。



峰岸、峰岸。



「久しぶり!元気だった?」

毎回手紙に書いてくる事を言いながら、峰岸は白い息で顔を曇らせる。


「やっぱり、こっちは寒いな」
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