峰岸の恋する宇宙-そら-(短編)
時間がたてばたつほど、愛おしくなる。


峰岸の笑顔、声、手の温かさ、空を見上げながら宇宙を語る…横顔。


峰岸があたしに気付いた時の、あの切ない胸の痛みが、鮮明にあたしの中に…まだ残ってるんだ。



ねぇ、峰岸。




いつまであたしの中に居るの?



苦しくて、忘れたくて…。


あたしは、澤村くんを好きになりたい。

その方が苦しくない。


そばに居てくれるのは、峰岸じゃなくて澤村くん。

あたしだけを見てくれるのは、澤村くん。


峰岸じゃないんだよ?




だから…もう…あたしの中から…出て行って…。


お願いだから…もう…あたしの思い出に出て来ないで。




いっそ、峰岸を嫌いになれたらいいのに。


有り得ない事を、思った。







それから三年付き合った澤村くんと、あたしは同居を始めた。


澤村くんは、相変わらず優しくて、あたしは本当に峰岸を忘れられるんじゃないかとすら感じていた。


思い出す事が、確実に減っていたから。


澤村くんが笑う。
澤村くんが話す。
澤村くんが、抱きしめてくれる。


あたしは確かに、澤村くんに安らぎを感じてた。
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