峰岸の恋する宇宙-そら-(短編)
酔っ払い?
まだ9時だよ?


絡まれると面倒だから、あたしは歩道の隅に寄った。

前に絡まれた事があって、すごく嫌だったんだ。


通り過ぎて行くサラリーマン達。


ああ…良かった…。

安堵しながら、通り過ぎざまに視線だけを彼らに向けた。


サラリーマンの中、一人だけ違う人が混じっていた。


スラリとした長身、ジーンズにTシャツ、上からラフにジャケットをはおってる。

弾む会話に、笑う…横顔…。


………………え。



……足を止めた。

通り過ぎたその人を振り返る。


今の……今の横顔……。


あの笑顔…………。


嘘。


何で、ここに、居るの?






峰岸……。


峰岸だよ。



昔と変わらない笑顔……峰岸……。



振り向いたまま、立ち尽くす、あたし。

動けない……。


何で、峰岸が……。


見つめる視線の先、その後ろ姿が、止まった。

息が詰まる。


酸素が……薄い感覚。



ゆっくり振り向く…あたしをとらえたその瞳が………驚きで見開かれていくのが…分かった…。







「…………永山?」




時間が……止まる感じがした……。
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