峰岸の恋する宇宙-そら-(短編)
峰岸は温かい。



(永山、泣くな………)



峰岸?



あたしは、峰岸の胸から顔を上げた。


ここは…東京だ……地下カウンターバーへの……階段。




(泣くなよ)



峰岸は、強くあたしを抱きしめる。



峰岸?

峰岸の方が泣きそうだよ?

どうして?


泣かないで……峰岸。




あたしは、泣き出しそうな峰岸を見るのが切ないよ。


あたし、泣いてないよ?

泣いてないよ?峰岸。



だから、そんな顔しないで?


そんなに声を震わせないで?



あたしは峰岸を抱きしめた。


聞こえるよ…峰岸の力強い……心音。



峰岸……峰岸……。


ずっと一緒だよ。



瞳を閉じる。


頭の上から、峰岸の声が響いた。



(永山、ずっと幸せに……)





…………え?



峰岸?




瞳を峰岸へと上げた途端、風があたしの頬を叩いた。

強い風。


思わずまた、瞳を閉じる。







次の瞬間……………目を開けたら、あたしは屋上に立っていた。



中学の制服を着たあたしは……屋上に立っていた。


心地良い風が、あたしの髪をすり抜けてく。
< 85 / 94 >

この作品をシェア

pagetop