先生と私
第1章

『骨盤でしっかりすわれ!』


『前見て漕げ!』


『ちゃんと声だして!』


『パドルの持ち幅狭い!』


『言ってる事実行しろょ!俺の一年半を返してくれ!』




私が、高校2年の夏・・・
ボート部の大会に向けて練習の最中、顧問の先生がいつもの様に声を張ってる。


『何度同じ事言われれば気が済むンだ!』


『それじゃ、いつまで経っても勝てないぞ!』


先生の口調はいつも冷たい。


でも、そんな声を聞きながらホッとする自分がいた。


同じボート部の部員の中に、先生の声を聞くと落ち着くって言ってる人もいる。
中には、先生を嫌ってる人や顧問としては尊敬するけど、教師としては嫌いと言う人もいる。

ただ、部員どうしの仲は他の部活に比べるとかなり良い!!


このボート部は二年前まで、ボート愛好会で、部に昇格したのは極最近。部員もそんなに多く無かった。



今年の夏は・・・秋の大会に向けて頑張るぞ。

皆が、それぞれに自分に誓った。

そして・・・


『もっと、深く!奥からキャッチ!』


今日も先生の声が響く・・・
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