初恋は前途多難！ ～朗らか社会人とメイド女子高生 【１：出会い編】

　そのパーキングの隅に停めていた、１台の車。

「わ――……」

　あまり車には詳しくないから、どう言っていいのか分からないけれど。

　丸みがあるけどすらっと伸びているボディは、黒い色と相まって、無知なあたしでもどことなく「高級車」って雰囲気を感じる。

　街中を走っている乗用車って言われる車とは、なんとなく違う気がした。

　傷ひとつない、綺麗なパールブラックのボディ。

　後部座席にはスモークが貼ってあるらしく、軽く不透明になっていて中が見えない。

　こんなのを持っているシンさんって――実はすごくエリートなのかな……？

　き、傷とかつけたら怒られちゃうかも……っ！

　わわっ……あたし、そういうのヘマしちゃうから、ダメ――……

　そう思うと、なんだか違った緊張感があたしを襲う。

「はい、どうぞ」

　そんなあたしの気持ちを知るはずもなく、シンさんはにっこり笑いかけてくれながら、ゆっくりと助手席のドアを開けてあたしを中へと促してくれる。

「あ、は、はい――」

　緊張でがちがちになりつつ、ぎくしゃくとした動きで開かれた助手席の中へと体を入れていった。