初恋は前途多難！　～朗らか社会人とメイド女子高生　【１：出会い編】
「うん？　どうかしたの？」

　あたしが乗り込んだ助手席のドアを閉め、運転席へ回り込んでやって来たシンさんは、席に乗り込むと、あたしの方を見て不思議そうな顔をする。

「シートが硬くて体に合わない？　大丈夫？」

　緊張しているあたしの原因がシートにあると思ったのか、心配そうな顔でそう聞いてくれるけど。

「あ、いえ――」

　緊張のせいでどう答えていいのか分からず、ぎこちない笑顔で小さく頷いたけど、視線が泳ぐ。

「じゃあ、どうしたの？」

　さっきとは様子が変わってしまったあたしに、シンさんは優しく微笑みかけてくれながら穏やかに問いかけてくれる。

「え、っと……その……」

「うん。なんでも素直に言って？」

　優しいその言葉に背中を押されるように、ようやく途切れがちに訳を話しだすことができた。

「車の中が、その――綺麗なので……絶対に汚しちゃダメだと思って……」

　恥ずかしさと緊張で小声になったけれど、そこまで説明できると、シンさんはふわっと笑い、

「あぁ――そんなこと、全然気にしなくてもいいよ。……ほらっ」

　そう言って、あたしの予想外の行動に出た。
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