初恋は前途多難! ~朗らか社会人とメイド女子高生 【1:出会い編】
「あの、よろしければポイントカードをお作りしてもよろしいでしょうか?」

 レジが済むと、あたしはレジの横に置いてあるポイントカードを1枚取り出し、子供っぽい人に差し出す。

「うん? ポイント?」

 きょとんとした顔で、あたしの差し出したポイントカードをじっと見つめる。

「はい。お会計のとき、500円ごとにスタンプを1つ押させていただいております。スタンプが全部埋まりますと、裏面にあるメニューから1つお選びいただくか、1000円の割引をさせていただきます」

「ふんふん。へぇ、なるほどね」

 あたしからの説明を、興味深そうに頷いて聞いてくれた。

「今回はスタンプを3つ、押させていただきますね」

「はーいっ」

 ぽぽぽん、とリボンのマークのスタンプを押して半分に折ると、カードの表にあたる場所にある署名欄を上に出すと、

「ご主人様のお名前はなんと仰るのでしょうか?」

「え? ぼくの名前?」

「はい。カードにお名前を書かせていただきますので」

 名前を書いて手渡すまでがサービスだから、このときのあたしはごく普通に聞いたつもりだったんだけど。

「えっと――」

 初めて、子供っぽい人がちょっと困ったように考えていた。
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