初恋は前途多難! ~朗らか社会人とメイド女子高生 【1:出会い編】
「笑顔で元気をもらったのは、さくらちゃんが初めてだよ」
だから昨日の困らせたことを謝りたかったんだ、と静かに告げ、シンさんの手がそっと持ち上がる。
「え――……」
「それに、さくらちゃんはマジシャンみたいだからね」
あたしの手を取ったシンさん。
男の人らしい、大きくて少し硬い感触で、冷たい――手。
その手が、優しく両手で大切なものを扱うかのようにあたしの右手を握ってくれる。
「きみがオムライスの上に描いてくれた絵、本当にすごく嬉しかったんだ。料理であんなに嬉しい気持ちになったのも、さくらちゃんが初めてなんだ」
あたしがケチャップで描いた絵で、こんな風に嬉しがってくれるなんて――
ちょっとくすぐったい気持ちになったけど、嫌じゃない。
「さくらちゃんの手に、ぼくを幸せにしてくれる魔法でも掛かってるのかな? なんて思ったりしたんだ」
そう言ってシンさんは「ごめんね」と呟いてそっとあたしの手を放してくれた。
「いきなり手を取ってごめん。ぼくを幸せにしてくれるその手に、どうしても触れて確かめたかったんだ。――魔法が掛かってるかどうかね」
もう勝手にしないね、と言って、シンさんはまた「ごめんね」と謝る。
少し驚きつつも「大丈夫」とシンさんに笑ったあたしだったけど――心の中では、自分の心臓の鼓動が早くなっていることに動揺していた。
だから昨日の困らせたことを謝りたかったんだ、と静かに告げ、シンさんの手がそっと持ち上がる。
「え――……」
「それに、さくらちゃんはマジシャンみたいだからね」
あたしの手を取ったシンさん。
男の人らしい、大きくて少し硬い感触で、冷たい――手。
その手が、優しく両手で大切なものを扱うかのようにあたしの右手を握ってくれる。
「きみがオムライスの上に描いてくれた絵、本当にすごく嬉しかったんだ。料理であんなに嬉しい気持ちになったのも、さくらちゃんが初めてなんだ」
あたしがケチャップで描いた絵で、こんな風に嬉しがってくれるなんて――
ちょっとくすぐったい気持ちになったけど、嫌じゃない。
「さくらちゃんの手に、ぼくを幸せにしてくれる魔法でも掛かってるのかな? なんて思ったりしたんだ」
そう言ってシンさんは「ごめんね」と呟いてそっとあたしの手を放してくれた。
「いきなり手を取ってごめん。ぼくを幸せにしてくれるその手に、どうしても触れて確かめたかったんだ。――魔法が掛かってるかどうかね」
もう勝手にしないね、と言って、シンさんはまた「ごめんね」と謝る。
少し驚きつつも「大丈夫」とシンさんに笑ったあたしだったけど――心の中では、自分の心臓の鼓動が早くなっていることに動揺していた。