初恋は前途多難! ~朗らか社会人とメイド女子高生 【1:出会い編】
 ――考えなかったわけじゃないけれど。

 思えば思うほど、混乱する。

 シンさんの気持ち――……

 このメモ片に電話番号を書いて渡してくれたことの意味。

 軽い気持ちであたしに渡してくれたのかな?

 ……重く受け止めてしまってるあたしの方がおかしいのかもしれない。

 まだ子供だからよく分からないけれど――……社会人になると、ああいったことが普通になるのかな?

 よく分からない――でも。

 1つだけ言えることがある。

 シンさんの電話番号だから――あたしはこうして持っているわけで。

 他の人だったら、多分……捨てていたかもしれない。

 そもそも、こんなに悩まないとも思う。

 そう――シンさん、だから。

 あたしのために書いて手渡してくれたメモ。

 そのメモを捨てられず、部屋のなかにそれを置いておこうと決めたとき、あたしは自分の中にあるその気持ちに気がついた。

 あたし……

 ――シンさんにほんの少しの特別な気持ちを抱いている……かも。
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