答えを導く少女
27. 提案
アカネのお父さんの演説から九カ月が過ぎた。


あと数日で十カ月になる。


私はアカネと会う約束をしていた。


仕事を午前中に終わらせ、午後の予定を空けた。


電話で大事な話があると言われたからだ。


私はアカネが来るまで本を読んでいた。





トントン…




ドアがノックされた。


私が返事をするとアカネが入ってきた。


いつも通り、法被を着ていた。


手には鞄を持っていた。


アカネは挨拶をして椅子をベッド付近に置き、座った。




「アカネ、久しぶり」




読んでいる本を棚に置きながら話した。




「久しぶり。体調はどう」




アカネは心配そうな顔をしていた。


部屋には車いすがあり、病気の進行が進んでいるのは誰が見ても分かる。


アカネは私の病気に責任を感じていた。会う度に謝罪した。


その度に私は礼を言った。こうなることは私自身で予測していた。


私が選んだ道なのだから、アカネが悪いわけではない。


むしろ、感謝をしていた。


ここまで私のわがままで仕事をさせてくれたことに…




「大丈夫。下半身が動かないぐらい。
不便はないわ。
そんなことよりも、アカネこそ大丈夫。
疲れが溜まっているんじゃないの」




私はアカネの顔を見た。


報告では聞いていたが、日を重ねるごとに、仕事も増えて行っている。




市民の暴動阻止
市民との話し合い
部下達の管理
多国との話し合い
訓練施設の建設





私が知っているものでも、これだけの仕事を担当しているのだ。


全て部下の管理をする仕事で報告を聞く仕事でも量が多すぎた。


本当なら私と会う時間がもったいないとさえ思えた。
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