嘘と苺とショートケーキ 【短編】


今までのあたし、さようなら。


昨日までのあたし、さようなら。


今日までのあたし、さようなら。



あたしはたった今から、念願の彼氏をゲットしてきます!!



『うふふ……ついに、ついにこの日が来たのよ!』



昇降口で上靴に履き替え、人の波に逆らうことなくずんずんと進んで行く。


校舎の廊下をこらえきれずにやにやしながら歩いていたら、すれ違った人たちにすごい顔で見られた。


あ、あたしとしたことが…!



『(…でも……ああ、嬉しいっ!)』



だって今日は、特別なんだもの。




あたし―――倉眞 月菜(くらま るな)の記念すべき17回目の誕生日なんだから。




『(こんな素晴らしい日に彼氏ができるなんて、あたし幸せじゃない?…うふふ!)』



るんるんとした足取りで向かっているのはあたしのクラス……ではなく、その隣にある2年B組。






事の始まりは、朝方に届いた一通のメールだった。





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