君を愛したい

      □
先輩と別れてから数分。

星来は未だに腕を離さない。

……いい加減、離してくれないとヤバいんだけど。


俺は気を紛らわすため、再び空を見上げた。

漆黒の闇は、まるでこの世に俺たちしかいないんじゃないかと思わせる。

そんな時、星来が静かに口を開いた。




「お兄ちゃん、空好きだよね」



「あー、まあな」



「どうして?」




どうして?


そんなこと聞かれたこともなかった。


少し戸惑いながら、俺はまだ空を見上げつつ口を開いた。




「なんとなく、かな」



「ふぅん……」




それで会話は終了。



でもな、本当は意味があるんだ。


空ってたくさんの星を抱きしめているみたいだろ?


だから、地上では叶わない俺の夢を、空は叶えてくれている


そんな錯覚に陥るんだ。



誰にも、特に星来には絶対言えない、俺の夢。

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