いちごキャンディー
さっきまで兄貴達が寝ていたソファーに空澄と並んで座った。

俺は雑誌を開いて、空澄はイチゴオレを飲み始めた。そして、母さんはお風呂に入りに行った。



―パラッ

――パラッ


俺が雑誌をめくる音と空澄が見ているテレビの音だけが聞こえる。


「ねぇー、ももちゃん。」

『んー…』


空澄の呼びかけに、雑誌に視線を落としたまま答えた。


「若葉と別れたんだってね…」

『あぁ。』


俺は雑誌を見つめたまま答えた。


「若葉が言ってた‥」

『何て??』


今度は顔を上げ、空澄の顔を見て聞き返した


「楽しかった、幸せだったって。」

『うん、俺も楽しかった。』


そう言った俺に空澄は


「幸せじゃなかったの?」


と聞き返してきた。


『幸せとは少し違ったかな…。』


俺は正直に答えた。


「そっか‥‥」

『うん。』

「若葉が言ったの、友達になった方がもっと楽しいと思うって。」

『俺も、そう思うよ。』


そう言った俺にもう一度空澄が尋ねてきた


「ももちゃん、今は幸せ??」

『うん。幸せ。』


本当に心の底からそう思うよ


「よかった(笑)」


そんな風に笑う空澄の傍にいれるんだから。
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