キスフレンド【完】
「そりゃ、妬けるよ」
紫苑の胸に抱きしめられているから、紫苑がどんな顔をしているのか分からない。
だけど、あたしはもう一度聞き返した。
自分の欲しい言葉を聞きだすために。
「妬けるって?紫苑、ヤキモチ焼いてくれるの?」
「ん。焼いてるよ。で、いるの?いないの?」
キスフレンドなんて、そう何人もいるわけない。
ましてやあたしには紫苑っていう100点満点以上のキスフレもいる。
「いないよ」
正直に答えると、紫苑は「知ってたよ」と満足そうに言ってあたしの頭をポンポンッと叩いた。