キスフレンド【完】
あたしは結局、お父さんに何もしてあげられなかった。
倒れたお父さん。
それを見て慌てて救急車を呼ぶお母さん。
あたしは二人をただ震えながら部屋の隅で見ていただけ。
あの時、お父さんにはまだ意識があったのかもしれない。
『お父さん!!』
大きな声で呼びかけたら、お父さんは反応したかもしれない。
『お父さん、大好きだよ!!』
そう叫んでいれば、お父さんは目を開けたかもしれない。
そんなバカみたいな『たられば』が、あたしを苦しめる。