雨が降ったら
雨が降ったら

 次、雨が降ったら、返事ください。


 その一文を最後に、手紙は終わっていた。

 生まれてはじめてもらったラブレター。

 読み終わって、封筒に収めなおした途端、
 馴染みのないざわめきが胸にはじまり、波紋のごとく、全身に伝わった。


 好きです。

 ずっと見てました。

 いつも、雨の日が、待ち遠しくて。


 窓の外、朝から降り続けている雨は夕方になっても衰えを知らず、
 テレビの音をかき消すように落ちてくる。

 見るともなしに見ていたテレビを消して、ソファに倒れた。


「好き、だって」


 わたしのことが。

 冗談なんかでわざわざ手紙を綴るものだろうか。

 それも、話したことのないまったくの赤の他人に。


(冗談じゃあ……ないよね、きっと)


< 1 / 26 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop