優しい風〜隠れ美少女の初恋〜【完】
ーーバシッ



「見んなッ!!」



友達2人を、基槻が同時に叩き、私に近付いて来た。



「深川君どうしたの?」



葵衣は嬉しそうに、基槻へ近付いて行く。

…葵衣にだったんだ…。

ヤキモチより、ショックが大きかった。

でも、ヒューッと、柔らかく良い香りの風が吹いた。



「―――へ?」



「深川…君?」



気付けば基槻に抱き締められて居た。

葵衣はあんぐり顔。



「何で眼鏡、外したの?
何でメイクしてんの?」



「いや…――」



“基槻を振り向かせたいから…”何て、言えません。



「ちょっと、おいで」



「あ、いやや、基槻…ッ!!」



基槻は私を引っ張って歩き出す。

葵衣が睨んでたなんて、気付きもしなかった…。



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