優しい風〜隠れ美少女の初恋〜【完】

「遊ん家、共働き？」



「何で？」



「電気、点いてねぇから」



深川君が、不思議そう家の門を覗きながら言う。

もうすぐで陽が暮れるというのに、我が家は真っ暗で、玄関の灯りすら点いてない。



「ううん。両親は生まれた時から居ないの。祖父母も２年前に亡くなって、お兄ちゃんは車のディーラーをしてるから日によっては忙しいの」



「…あ、わりぃ…」



深川君は私の頭に手を乗せ、申し訳なさそうな顔をしている。

私は首を振り、笑った。



「気にしてないよ。お兄ちゃんが居るから！」



そう、私にはお兄ちゃんが居る。

だから今は寂しくなんてない。

そんなお兄ちゃんの為に、私は笑うし、元気に学校にも通えてる。