先生に囚われて
「いいけどよ〜、なっちゃんは寂しい」

22歳のいい大人が何言ってるの。

なっちゃんはいつまでたっても、言動が若いし存在がチャラい。


「おつかれー、勉強会?練習会?終わったのか」

「おぉ。まじで疲れた〜!休みの日まで出勤って……くそぉ」

「ははっ!頑張ったね、お疲れさま〜」


休日出勤に疲れて項垂れるなっちゃんの頭を触ろうとした手を引っ込めた。

な、なんか触りづらいな。


「……歌?」

その手を見ていたなっちゃんが不思議そうに私を見た。


い、いつも通りに。
いつも通りって、どうやるんだっけ?

私は引っ込めた自分の手を凝視していたらしい。
恭弥がその行動に苦笑いを浮かべて、私の頭をくしゃっと撫でた。


「歌、そんなに意識すんなよ」


やっぱり、恭弥には気づかれてた……。

「う、うん」

「お前ら……」

私たち二人のやりとりを見ていたなっちゃんが何か言おうとした時。



ーーガチャ

再び、玄関のドアが開いた。



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