先生に囚われて
そのまま一度も下に降ろされる事なく、着いた先は柔らかいベッドの上。

心臓がドキンと跳ねた。


無意識に胸元に手をやり、何も掴めなかったことに寂しさが広がる。

身体をギュッと丸めて縮こまる体勢をとった私の背中に優しい声がかかる。


「お前ここにいろよ、俺が帰ってくるまで勝手に出てくなよ」


え?りぃ君?

振り返るとりぃ君が寝室を出て行く後ろ姿で、すぐに玄関のドアが閉まる音が聞こえた。


何もやる気が起きないし、何も考えたくない。

言いつけを守るようにベッドの上でジッと動かずにいると、りぃ君の香水の匂いがするその空間に癒されてそのまま眠りに落ちていた。







――うた。


私を呼ぶ声が聞こえる。
懐かしい、大好きな声。


「……歌」




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