先生に囚われて
ぽん、と頭に手を乗せられて「歌?」と優しく呼ばれ、さらに罪悪感が募る。


私はなんて事をしてしまったんだ。

自分の行き場のない嫉妬と独占欲の矛先を、りぃ君に向けてしまうなんて……。


そんな私を知らないりぃ君が優しく接してくれるのが、また居たたまれなさを増幅させる。

じわじわと涙がせり上がってきた。


……今日一日でずいぶん涙腺が弱くなったな。



「ご、ごめんなさい!その傷、ごめんなさい……っ」


涙を零さないように必死に堪えながら、なんとかりぃ君の顔を見て謝った。



りぃ君は私の頭に乗せていた腕を背中に回して、グッと力を入れて私を抱き込んだ。

それから頭の上に顎を乗せて、息を大きく吐き出した。


「怒ってねえから、もう気にすんな」

「うん……、ごめんなさい」


意地悪だけど本当は優しいあなたを、諦めることなんて出来るのだろうか。


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