先生に囚われて
そっと顔を出した私は、後ろ手で部屋の扉もそっと閉めようとした。

なのに、カタンと思いの外、閉まる音が大きくて心臓が小さく跳ねた。


その音は言い合っていた2人にも聞こえたらしく、2人の視線が私に一斉に注がれる。




「え?……歌?」


さっきまで息巻いていた彼は一瞬、言葉にならないほど驚き、その後そっと私の名前を呟いたけど、すぐに弾かれたようにこちらに近づいて来る。


だけど、それより早く険しい顔つきになったりぃ君が私の元までやって来て、

りぃ君の手が私の顔に伸びて、親指で私の下唇をグイッ、と下げた。


「お前、また噛んだのか」


そう言ったりぃ君の辛そうな表情に、胸が苦しくなった。

私は無意識に自分の唇を噛んでいた事を後悔した。


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