陰陽(教)師
外に出ると、月はもうだいぶ高い所にあった。

「さむーい!」

冷たい風に吹き付けられ、鈴子はコートの前を必死に合わせた。

「先生、この家どーなるんだ?」

嵩史は家を見上げながら訊いた。

その姿はもう、人間のそれに戻っていた。

「とりあえず教育委員会に報告する。あとは行政に委ねられるだろうな」

いずれにしろ、この家は取り壊しだと晴明は言った。

「家そのものが妖怪になっちゃったもんねー」

鈴子は仕方ないといった顔をした。

その時、庭の葉がこすれあう音がして、異形の男が再び姿を現した。

「ありがとうございました」

男は晴明たちに向かって深々と頭を下げた。

「これでかつての住人の方々も、浮かばれることでしょう」

その目には涙がうっすら浮かんでいた。

「お前はこの家に起こったこと全てを見つめていたのか」

「はい」

晴明の問いに、男はうなずいた。

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