狐に嫁入り!?


「だ……騙してなんか!」


ないって言おうとしたけど、善狐達の視線に気づいて止まる。


皆が冷たい目で私を見てくる……もう、私のことなんかに一切耳を傾けない、拒絶を示す瞳。


「元々、貴方は人間ですから。私達と住む世界が違う……私の方に分がある」


皐月さんは私にしか聞こえないように呟くと、集落を出て森に向かって歩き出した。


屋敷の時以上に早足で森の奥深くへと進んで行く。


「どこに行くの?私を……どうするの!?」

「……静かに。妖狐に気付かれると面倒です」


妖狐と言われて私は口をつぐんだ。

さっきはナライに助けてもらったけど、皐月さんだと私をそのまま放って帰りそう。



やがて、樹齢何千年かと思うほど、古めかしくも太く逞しい一本の木の前で皐月さんは足を止めた。

そしてそこで私を下ろした。

上からはその木が大きく枝を広げた隙間から朝日がチラチラと漏れている。


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