狐に嫁入り!?
……この足元……まさか!
興奮気味に足元から顔へ視線を移す。
そこには「現れて!」と願っていた、
銀髪に切れ長の青い目、真っ直ぐ通った鼻筋で、美形を超越したような男が立っていた。
「ウタク!」
草履を履いた「人」を「狐」に訂正。
いつも強い風と共に現れるわけじゃないんだ。
私はウタクへ向かって一歩踏み出したが……
「……勝手に待ってろ、なんて言い草をしておいて、結局ノコノコとやってきたんだな」
スッと目を細めて不機嫌そうに言い放つウタクの声色にはすごみがあり、
私は委縮して、踏み出した一歩を下げた。