命の花
「ったく、なんでイグニスには居場所がばれちゃうんだ」

「おや、気付いてなかったんですか?」

「何に気付いてないってんだ? おれさまが」

 ロージリールお得意の「おれさま」が出てくるともう、上機嫌だ。

 イグニスは彼の髪をなでつけるとちょっとほほえんだ。

 ロージリールははねのける。

「あなたの風に、です。死にたくない、ここで諦めたくない、そう、血の涙を流しているのです、あなたは。あの頃からずっとね」

「……何だそりゃ」
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