Twins ─俺の姉─


「また嘘ついた。優輔には嘘つ菌が潜伏してるんだわ。」

「嘘つ菌て…。そんな病原菌いないだろ。」


呆れてまた溜め息。
でも、そんな姉の言動を見て可愛いと思ってしまう俺は…別の病気にかかって、手遅れになってしまった哀れな男だ。

さて、そろそろ俺のペースに持っていかないと咲綺の不思議ちゃんペースに呑まれてしまう。
話を変えよう。


「それより姉貴、こんなところで何してたんだよ。」

「んー、苅山(カリヤマ)先生のところに呼び出されたの。私、体育委員長だから。」

「そういえば、そろそろクラスマッチだったな。女子は何するの?」

「バレーとバスケ、テニスと後は卓球だったかな。私はテニスなの。」


早くしたいなあ、と嬉しそうに笑っている。

そういえば昔、地域のスポーツコミュニティでソフトテニスをやっていた。今ではテニス部部長という咲綺だが、その頃の彼女は空振りが多く、コーチの薗田にいつもダメ出しを食らっていたのだ。
そのことを思い出して含み笑いを漏らした。


「優輔、今酷いこと考えてたでしょう。」


流石双子というべきか。彼女の鋭い勘には頭が下がる。

だからといって、はいそうですと言わないのが俺だ。


「いや、別に。」


疑りの目を向ける彼女に微笑んで言った。




「咲綺の笑顔が可愛いなーって思っただけ。」




今の状況じゃあ嘘だけど、本当。





当然咲綺は目を丸くして俺を見つめる。
ちょっとおもしろい。

でも、そんなに開けすぎて眼が乾燥しては可哀想だ。


「……ジョーダンだよ、姉貴!それより、苅山先生のとこ行かなくていーの?」

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