我が家の妖怪様
「色々とありがとうございました。ご迷惑ばかりお掛けしてすみませんでした」

 夕方になり、群真さんが帰る時間となった。群真さんの家はここから電車で2時間は掛かるらしい。
 夏には是非遊びにと言われ、俺は二つ返事で承諾した。群真さんとは仲良く出来そうだ。



「篝のやつ、ちゃんと大人しく帰ったのかな?」

 帰る時群真さんに呪文を掛けられて、また小さくなっていた篝に俺は大丈夫なのだろうかと不安が過ぎった。

「主が気にすることではない。篝もそこまで馬鹿ではないからのう」

 呑気に言う泰葉にそうなのか? なんて思いながらも、俺は本堂へと向かった。篝達の邪魔が入り、出来なかった修業をする為に。

「―…うし! 頼むぞ風さん!」

 今日こそは、少しでも風を起こせるようにと、お願いを込めて言えば力を集中させる。
 群真さんや篝を見て思ったが、足元から炎を呼んだり、足元に火の輪を作ったりと足元に力を集中しているように見えた。

 俺も今日は足元に集中してみようかと、俯いてじっと足元を見つめる。見つめる間も、風に力を貸して欲しいとお願いを込めて。

「―…はあっ、はあっ…」

 息が上がるほど集中しても、俺の身体を風が触れると言うことはなかった。どんなに集中しても、風の声は聞こえず俺は頭を悩ますのだった。
 俺の何がいけない?
 俺の何処が足りない?
 風を起こす為に、俺は何を考えどう行動すれば良いのかと、修業が終わった後も考えていた。
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