僕は君のもの
ふたりの時間

お昼休み、二人だけの勉強が始まった。裕樹に報告するなり、からかわれた。襲うなよ…と。


そんなことをするわけがない。僕のカンだが、柏木はたぶん僕のことを苦手と思っている気がする。それなのにこれ以上嫌われるようなことしたくない。


本当は放課後のほうが、ゆっくりできるから誘ったのだが、どうしても部活は休めないと、断られてしまった。


今でも佐野先輩は、引退してからもちょくちょく顔を出すらしい。


だからなのか……?



こんなこと気にするなんて、意外に小さい男かも。




勉強する場所は、今あんまり使われていない、第二図書館。ここは古くてほとんど人がこない。何も気にせず二人っきりで過ごせるわけだ。


それを考えただけで、自然と顔が崩れてくる。



でも、はっきり言って、好きな人にどう接したらいいかなんて、わからない。しかも二人きりとか大丈夫だろうか。


などと考えているうちに、昼休みになっていた。

< 57 / 100 >

この作品をシェア

pagetop