honey blood
不思議と頭に浮かんできたのがそいつだった。



父さんに聞いたら、俺と会った翌年、そいつの一家が消えた。



「滅多にいねぇ純血が悪さしてるとは思いたくねぇんだけど…」

「紫の勘はあながち間違いとも言い切れない」

「えっ?」

「昔からあの一家はなにかと問題がある。それに…実は俺の兄貴だ」

「そう…か…」



俺が死んだら純血の誰かが父さんの後を受け継ぐ。



それにいちばん近いヤツ…。



父さんが言うには、どこにいるかもわからなかったと…。



「なんで長男が跡継ぎじゃねぇの?」

「兄貴は人間との共存なんか求めちゃいなかった。自分たちがいちばんだってヤツで」

「祖父さんが許さなかったって感じ?」

「まぁ、そんな感じだ」



気をつけろと言われたけど、顔すらわからないからどうしようもない…。



父さんもよく勘が働くけど、それも遺伝してたらヤダな…。



とにかく俺も忙しくなってきたらしい…。



蜜のことは別問題だから、ちゃんとしてやろう。



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