honey blood
でももっと痛いのかと思ってた。



噛まれるのと同じくらいで、天音に頭の中どうにかされちゃう時の方が痛い。



「紫のヤツがそんなに待つとはなぁ~」

「普通じゃん…」

「大事にされてんじゃん」

「そう…なのかな…」

「照れてんじゃねぇよ。俺もそろそろ恋しようかな~」



先生はモテる。



学校の生徒は全く相手にしてないけど。



だけどカッコイイもん。



「彼女とかいないの?」

「昔いたっけな」

「昔?」

「今の紫みたいに本気で好きになった女」

「別れたの?」

「ん~、死んだ」

「あっ…ごめんなさい…」

「別に気にしねぇよ。昔の話しだしな」



30年前に死別したらしく、相手は人間だったんだって…。



今のあたしと紫みたい…。



「心臓悪くて。ヴァンパイアにしてやろうと思ったけどそん時にはもう手遅れ」

「手遅れなんてあるの?」

「そりゃあな?ヴァンパイアになるには体力が足りなかった」

「辛かった…ね…」

「昔の話だ」



そんなに辛いことも乗り越えなきゃならないのか…。



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