honey blood
遠距離と決断の期限
【蜜】



相変わらず噛まれるのは痛い。



痛いし恥ずかしい…。



「くぅ~っ!!うめぇ!!」

「今日飲み過ぎ…」

「5日我慢した」



紫があたしの血を飲むと、目が紅くなり一層妖艶さが増す。



最近の紫のコレ、直視できない…。



あの日の夜を思い出してしまうから。



月明かりに照らされた紫の瞳は紅く染まっていて、体が余計熱くなったのを覚えてる。



あれからそんな雰囲気にはなってないからやたら思い出す…。



「あっ、忘れるとこだった」

「なに?」

「誕生日、おめでと」

「えっ…ぷ、プレゼント…?」

「お前の誕生日寝込んでてすっかり忘れてたからな」



そうだった。



紫がバカみたいに体調を崩した時にいつの間にか過ぎ去っていた誕生日。



あたしも忘れてたんだけどね…。



後から思い出しても特になにも言わなかったの。



忘れてなかったんだ…。



小さな箱を開けると、そこに入ってたのはシルバーのリング。



彼氏から指輪…。



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