クリスタルライン
私が再び歩きだそうとした時、家のドアが開いた。
え……?
誰か住んでいたっけ?と私は一人で首をかしげた。
だって、
リョウ一家のあとにこの家に越してきた家族は、1ヶ月前にまた引っ越していっちゃって
その後、まだ誰も入っていなかったような気がするから……。
誰が出て来るのかと気になり、目を凝らして開くドアのその先を見ていた。
出てきたのはなんと、昨日あの海辺で見た男の子とおじいちゃんだった。
男の子と目が合った。
丸くて大きな瞳が私を見ている。
私は軽く会釈した。
その後おじいちゃんとも目が会い、おじいちゃんは私に
「おはよう」
と優しい笑顔で言った。
「お、おはようございます」
私も挨拶を返す。
「昨日、この家に越してきたんじゃよ」
おじいちゃんは男の子と手をつないでこちらへ向かってくる。
本当に仲が良さそう。
「君は、ここらの子かのぉ?」
「あ、はい。そこの家の者です」
そう言って私は、斜め前にある自分の家を指差した。
「私は都谷といいます」
「ほぉ、そうかぁ。じゃあ、ご近所さんですね。うちは、夏川と言います。よろしく」
「よろしくお願いします」
頭を下げるおじいちゃんに私もペコっと頭を下げた。