嘘から始まる恋
「でも山中って存在は計算外だったけど」
「えっ?」
何て言った?
聞いてなかった。
「もう一回言って」ってお願いするが、笑ってスルーされた。
「理子、俺もお願い」
そっと腕を引っ張られ、成瀬くんに引き寄せられる。
「なに?」
ドキドキしながら成瀬くんの顔を見つめる。
「俺のこと、"瞬"って呼んでよ」
「…む、無理だよ!!」
呼び捨てなんて緊張して無理!!
「なんでだよ?理子が"瞬"って呼んでくれたらご褒美あげるよ?」
一瞬、ムスッとした表情をしたかと思うと、ドキドキするぐらいの表情で見つめられる。