嘘から始まる恋
成瀬くんと別れて、成瀬くんとは何も関係がなかった時と同じ日々に戻ると思ってた。
でも、成瀬くんがそれを許してはくれなかった。
毎日、私の所に話があると言って来たけど、私はずっと無視していた。
真実を知るのが怖くて。
「理子、話がある」
山中くんと廊下で話してると成瀬くんが声をかけてきた。
私と成瀬くんを交互に見る山中くんの視線が少し気になりつつも、成瀬くんに答える。
「…私はないよ」
「俺はあんだよ!」
逃げようとする私の腕を掴む成瀬くんの手を、山中くんが掴んだ。
「ちょっと、嫌がってんじゃん」
睨むように成瀬くんを見る山中くん。
「お前には関係ない」
「だからって工藤さんが嫌がってるのに、行かせるわけにはいかないよ」
お互い睨み合い、成瀬くんの掴んでいる手に力が入り、少し痛い。