嘘から始まる恋



成瀬くんと別れて、成瀬くんとは何も関係がなかった時と同じ日々に戻ると思ってた。


でも、成瀬くんがそれを許してはくれなかった。


毎日、私の所に話があると言って来たけど、私はずっと無視していた。


真実を知るのが怖くて。



「理子、話がある」


山中くんと廊下で話してると成瀬くんが声をかけてきた。


私と成瀬くんを交互に見る山中くんの視線が少し気になりつつも、成瀬くんに答える。



「…私はないよ」


「俺はあんだよ!」


逃げようとする私の腕を掴む成瀬くんの手を、山中くんが掴んだ。



「ちょっと、嫌がってんじゃん」


睨むように成瀬くんを見る山中くん。



「お前には関係ない」


「だからって工藤さんが嫌がってるのに、行かせるわけにはいかないよ」


お互い睨み合い、成瀬くんの掴んでいる手に力が入り、少し痛い。



< 247 / 275 >

この作品をシェア

pagetop