美女と珍獣

家出少女なあたし

『無理』

「え……っ？」



あまりにもキッパリとした拒絶に、思わず持っていた携帯を落としそうになった。



「み、美奈？　無理なんて冗談だよね！」

『いや、マジで』



夕暮れの、町はずれの公園。

冷たく無機質なブランコをよろよろとこぎながら、必死に動揺を押さえ込んだ。



「な、何で？」

『今彼氏と旅行中なのね。
ちなみに現在地ハワイだから当分帰れないし』


「は、ハワイぃ……？」


思わずとても情けない声が出てしまった。


目の前が真っ暗になるような感覚。

携帯を持つ手がカタカタと震えてきた。



『そう、ハワイ。まあどうにか頑張ってよ、麻伽』



そんな投げやりな言葉を残し、あたしの唯一の頼みの綱だった親友の美奈は一方的に電話を切った。









如月 麻伽(16)


只今、家出中です。