キスして☆イケメンな彼

智は俺の耳元で小さく呟くようにいった。

「...今日の合コンでつくれよ?」

「は?」

俺は智のいっている意味がよくわからなくて聞き返した。

「だから彼女!」

智はさっきより少し声を大きめにいう。


その後、俺は小さくため息をついて

「断る」

と言った。

もちろん、そんなことで諦める智ではなく...。


「いいじゃん。美人だって」

「俺、顔だけで選ばないから」


きっぱりとそういった。

“顔”じゃないならやっぱり“性格”か、と思うかもしれないけど、そうじゃない。


性格がいいから彼女にするとかそんな当たり前のことじゃない。


「じゃあ何だよ?」

智は少しイラつきを見せた。

俺はお前とは違うんだよ。

そう言おうとしたけどまた話が長くなりそうだったから、やめた。


「さぁね。智とは違うのは確かだよ」

「はぁ?」

智は不機嫌そうにいい、笑った。

そして智は俺の目をジッとみていった。

「俺だってそんなに軽くないからな」

意外だろ?と無邪気に智はいった。

「...分かってるって」

俺はそういって「じゃあな」と智に告げた。

「あぁ。じゃあ放課後!」

「おう!」




でもそのとき俺が行くと決めてしまったことに

深く喜び、深く後悔することになる。

なんて今の俺には分かるはずはなかった。




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