冬恋。【完】
東、これからちゃんと好きになるから。
待っててね。
「じゃあ、みずか。俺用事あるから帰るわ」
……え?
帰る× 逃げる○でしょう。
まぁ、少し気まずいっていうのもあるのかな、と一人で考える。
「またな」
「うん」
玄関まで東を見送る。
手を振ったら振り返してくれた東。ちょっと嬉しくなった気がした。
その時、ふと思った。
東は私のことみずかって呼んでるのに、私は東でいいのだろうかと。
ってあれ?東の下の名前なんだっけ。あ。秋人か……。
東を見送った後、自分の部屋に戻る。
時計を見るとまだお昼前の11時。
何しようか、と冷房のきいた部屋で考えていると外から「わふっ」という声がした。
ラナ? あぁ、暑いから水くれっていうサインなのかな。と勝手に思い込む。