小悪魔な君に天使のキスを

☆メイside


「あ、、司くん」

たこ焼き屋さんの前のベンチに1人座り込む、司くんの姿があった。


「司」

優くんの声は、少し掠れてて。

メイはさっきよりも強く優くんの手を握った。

手が離れてしまわないようにぎゅっと。

でも優くんの心が壊れてしまわないようにそっと。

「あ、、優。青木。」

顔を上げた司くんには、かなり元気がない。

「ちょっと話せるか?」


体育館の裏という誰もいない最高の場所に、優くんは案内してくれた。

生徒会の生徒だとこんなスポットも知ってるんだー。


「ごめん」

続いた沈黙を破ったのは、優くんだった。

「は、、?」

「ごめん、司。俺、すげぇお前たちのこと傷付けたよな…。まじでごめん」

優くんは、司くんの目をしっかりと捕らえて、

頭を下げた。

優くんが頭を下げる姿なんて、本当に始めて見た。

どんなに長くいても、メイが知らない優くんはたくさんいる気がして、左胸の奥がぎしっと音を立てた。

「やめろよ」

「でも、司、」

「いいって、別に。優を追い詰めたのは、俺も含むみんなだろ…?」

「司」

「俺は、もう怒ってねぇよ。恨んでもねぇ。あの、1発で全部消えた。」

1発…?

「まじでごめん」

「気にすんなって!」

そう言って笑った司くんの顔は、決して無理してなかった。

きっと、それに、優くんも気付いたよね…?

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