ヴァンパイアの花嫁 番外編③
「人間のことがよくわかっているんだな?」



レオンは短髪男の腕の中にいるティナを見つめながら言う。



「ずっと観察していましたからね 本当に奥方は可愛らしい人だ」


フフフと笑って、ドレスが開いた胸の膨らみに唇をあてる。



「ティナちゃん!目を覚ますんだ!」


エミリオが男たちと戦いながらティナを呼ぶ。



「無駄です 薬の中和剤を入れなければこの状態から抜け出せないでしょう 快楽に身を任せ、退廃的な生活を送る なんて理想的なのでしょう 余計な感情は一切捨てればいつか死ぬ時まで幸せな気分でいられます 薬の中和剤は私が持っていますから 私を殺せば一生奥方はこのまま」



愉快そうに笑う男。



レオンがその気になればこの男など一瞬で死ぬ。



しかし、薬は奴が持っている。


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