新世界創造記 ~勇敢なる姫の使命

Ⅱ ~華やかで大きな事件~

 「姫様~~~~~!!一体どこに行ってらしたんですか!!!」
 鼻息の荒い侍女に怒鳴られレリンは両耳に手をあて、いかにも煩そうに顔をしかめる。その隣でディースは涼しい顔で2人をみていた。

 「まったく毎日毎日城を抜け出して、陛下にも殿下にも心配をかけて、恥ずかしいとは思うわないんですか!?姫としての自覚はないんですか?他国の姫君を見習って下さい!!なんで大人しくしていられないんですか!!」

 侍女はそこまで一息で言うとはぁはぁと肩で息をした。
そしてのんきに窓の外を見ているディースに標的をかえた。

 「ディース!!あなたもあなたです。なんでいつも姫様を止めてくれないんですか?」


 --2人がなぜこんなに怒鳴られているかというと、数分前に至るーー


 城門をくぐると同時にレリンの侍女が無言で仁王立ちしており、レリンは「ヒッッ」と小さな悲鳴を上げて、真っ先にディースの後ろにかくれたのだ。
 か細い声で「ディース、たすけて~」などと言い、ディースも顔を引きつらせつつ、ここはレリンを連れて逃げたほうがよいのだろうか…それとも、怒られておいたほうがよいのだろうか…と何度か悩んだあげく……結局、鬼と化している侍女に引っ張っていかれ、今に至る。


 「はぁ~、シビィ。もう少し静かにできないの?あたしの耳がおかしくなっちゃうよ……」
 
 「姫様が大人しくして下さったらこんなに怒ることもないんですが!!」
 シビィと呼ばれたレリンの侍女は顔に怒りマークを何個もつけながら話す。
 

 レリンとディースは静かに目配せした。
侍女はまだくどくどと姫のあり方などを語っている。
 ディースはもう面倒だ、とばかりに手を振る。レリンはやれやれ、とばかりに肩をすくめる。

 「シビィ?聞いてちょうだい。」

 レリンの静かな物言いに侍女は静かになった。

 「あたしは姫だからといって城で大人しくしているのはイヤなの。」
 レリンがそう言うと同時に二人は立ち上がりーー
 「だから反省なんてしませんからねーーー!!」
 というレリンのセリフを最後に走り去った。




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