出逢い

「直輝、かあちゃんが先に行くからちょっと待ってなさいよ」


そう言って母親は部屋に
入って行った。









…どれくらい経っただろうか
時計もなくただ薄暗い部屋で何一つ音も発たない場所。
直輝は帰りたくなった。ただそれだけを考えていた


ガチャッ


扉が開いた。
するとそこには号泣する母親が
出てきたのだ。直輝は全く状況が掴めないでいた

「直…輝 次は…あんたの番だよ…中に…グズッ 入りな」

「お、おう」


部屋に入るとフードをかぶった
老婆が一人座っていた。

「いかにもって感じだな…うさんくせー」直輝は心の中でも思った

「直輝君だね。さぁお座り。ダージリンしかないが飲みなさい」


直輝は言われるがままに座りじっと老婆を見つめた。


「ふむ…悪ガキじゃなー。しかも友達がいないとは環境が悪すぎる!しかしお主の夢は一人では叶えられん…ふむ…海外を周りたいか」


何も言ってないのに海外を周りたい夢なんで誰一人話したことなんかなかったのに見つめるだけで老婆は見透かしたように話した。




「君は他人から乱暴だとか思われてるけどそうでもないみたいね。安心しなさい大学生になったら信じれる友達ができるわ。
それだけじゃないわよ。大切に想う人もできるわ。お守りにこの腕輪をあげるわね。」




ただだだ茫然とするしか
なかった。直輝は帰りの車で
ただ空を見ていた。

しかし心の隅では信じられない気持ちと期待が交差して自分でもよくわからない気持ちになっていた
数珠がたくさんついた
腕輪を眺めながらため息をついた





それから数日間が経ち





高校で卒業式を終え


大学の入学式は明日に
迫っていた。


「ほんとに信頼できる友達ができるのかな…」



直輝は静かに布団の中でも涙を流した。



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