光の子





先延ばしにすればするほど自分を苛(さいな)む決断に、

頭と体を鎖で縛り付けられているようだ。


動けないほど、重い。



アパートの畳に錨(いかり)でも降りているみたいに、この十日、外出もほとんどしていなかった。



そろそろ、矢楚から電話がくるころだ。


この十日、会おうとしない広香のために、矢楚は毎日二回ずつ電話をくれた。

クラブの昼休みと、クラブが終わって帰宅前に。



そろそろ、昼休みの電話がくるころだった。



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