光の子




「おう……、そうか」


響子は缶ビールをあおる。

「オトコは?」


再び響子は自分の隣のチェアをぽんぽんと叩き、座るように促した。


広香はすすめられるままに腰を下ろした。

チェアの足元には、空き缶が置かれていた。



「誰かいたんですか」


「菜摘が、さっきまで付き合ってくれてた」



菜摘は広香と一緒に暮らしている見習いだ。

二十歳を越えたばかりの体育会系女子。

体力があるので、よく工房の男性たちと酒を飲みに出ていく。


「ここで一杯ひっかけてから、飲み会に行ったよ」


「さすが」


ふふふ、と広香は笑う。



「ま、それでさ。調べはついてんだ。
菜摘に聞いたよ。広香、付き合ってるオトコ、いるんだって?」



「菜摘が、言ってましたか」


驚いた。菜摘とそんな話しをしたことはなかったからだ。





< 483 / 524 >

この作品をシェア

pagetop