光の子

けれど二人の家庭が、程度の差こそあれ、お金に余裕がないことで、どちらも背伸びをすることなく穏やかな時間を過ごせていた。

互いに持ち寄る、ささやかな朝食。
此処より他に、二人で行きたい場所などなかった。
見たいものも。



朝陽に染まる若い自分たちこそ、この世界で一番美しいことを、知っていた。



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