光の子
広香は、まるで衝動に駆られるように、矢楚の顔を両手で挟むと、自分の額を矢楚の額にくっつけて、目を閉じた。
「広香?……なに?」
「私の魂が、矢楚にひざまづいてるの」
「え?……意味が」
戸惑う矢楚に構わず、広香は深く深呼吸して、自分の内に広がる感情をただ感じた。そして祈った。
私も、矢楚のようになりたい。
やがて広香は目を開け、額を離した。
「私、矢楚に敬意を表するよ、矢楚は、すごいね。ほんとだよ」
広香がそう言うと、
「こんなの、敬意というより、誘惑だよ」
矢楚は頭を振ってうなだれた。
「誘惑、ではないよ?」
矢楚は恨めしそうな顔で、広香を横目で見る。
「ああっ!もう!!」
小さく叫んで、矢楚は、自分の開いた太ももに肘をつき、頭をガシガシと掻きむしった。