【長編】FOUR SEASONS
Autumn 白いバラ
「どうしようもない奴だよな、俺って」


自分をけなすように吐き捨てて言うと、優華が去った廊下を見つめ、壁を背にそのままズルズル座り込む。


あんな事するつもりじゃなかった。

あんなに、自分が動揺するなんて…思わなかったんだ。

優華が舞台に出てきたとき、誰もが溜息をついた。

白塗りの化粧をして、豪華な刺繍を施した色鮮やかな衣装を纏った優華は、誰が見ても日本人形のように美しかった。

周囲から漏れる溜息を誇らしく思ったのは、たぶん麻里亜も同じだったと思う。

隣に座るセルデュ先生越しにチラッと俺を見て、意味ありげに笑うと先生に向かって何事かを囁く。


…こいつら、ラブラブじゃねえか。


もしかして…俺の隣でずっとこの調子なんだろうか?

優華の出番が終わったら、この二人から逃げようと心に決める。

まあ、俺がいなくちゃカムフラージュにならないから、そんなに長く席を空けるつもりは無いけどさ。

でも、踊りが終わったら真っ先に優華に会って花束を届けたいと思っていた。

優華の踊りが始まるまでは…俺はまだ冷静だったんだ。





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