【長編】FOUR SEASONS
久しぶりに先輩のお仕事の無い日曜日、今日は朝から雲ひとつ無い秋晴れですがすがしいくらいに空気が澄んでいる。

クリスマスまで後ひと月ほどの街は、夜になるとイルミネーションが輝き美しく彩られる。

夜には輝く化粧を施すこの辺りも、昼間は目にも鮮やかな金や赤の秋の衣をまとった木々に彩られて、その美しさに目を奪われる。

風が吹くたびに色鮮やかな葉が舞い上がり、さらさらと優しい音をたててまるで歌っているようだ。

色とりどり葉を纏った、美しい木々に囲まれた小さな噴水のあるこの場所は、あたしにとって憧れの場所だった。

この場所でキスをしたカップルは結ばれる…なんて、女の子の間では有名な噂だけど、それを本気で信じているわけじゃない。

…でも、この場所は確かにそれを納得させるような雰囲気がある。

あちこちで待ち合わせをするカップルも、相手が来るとお約束のようにそっと寄り添ってキスをする。

まるで、ここで待ち合わせるとそうする事が当たり前のように。


< 154 / 323 >

この作品をシェア

pagetop