【長編】FOUR SEASONS
優華が好きだ。どうしようもないほどに。


その気持ちを封印したのは俺自身。

自分に自信がもてるまでは、絶対に口にはしない。

そう決めたのに・・・

溢れ出しそうな気持ちを抑えるためにぶっきらぼうに一言『言ってろ!』と言う事しか出来なかった。

いまだって、この手を繋いで引き寄せたいと心がこんなに願っている。

俺がそんな風に思っているなんて優華は微塵にも考えていないんだろうな。

「センパイ?どうしたの?孝宏先輩!!」

自分の考えに気を取られて優華が話し掛けている事にも気付かなかった。

優華は怪訝そうに眉を潜め俺の顔を覗き込んでいる。

・・・だから・・・顔が近いんだって。

理性をかき集めて笑顔を見せる。
そう、俺が笑うと優華も笑ってくれるはず。
案の定優華はホッとしたように笑みを見せた。

「よかった。具合でも悪いんですか?最近お仕事も忙しいみたいですし、大丈夫ですか?」

・・・あんまり可愛い事言わないでくれよ。

視線がどうしても優華の唇に吸い寄せられる。

柔らかそうな艶やかな唇・・・。

甘そうだな・・・って何考えてるんだ俺?

理性を無くす前に会話を変えないとダメだな。


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